会員の投稿

岸典子さんの投稿(2024/12/20掲載)

こんなところにもIBM!
タイムスリップ!
昭和のIT遺産が眠る
私設「昭和電子科学館」

昭和のIT遺産が眠る私設「昭和電子科学館」>昭和電子科学館HPへジャンプ

 広島県JR福山駅からバスで約40分、中世の時代から栄えた備後一宮吉備津神社が鎮座する歴史ある町に静かにたたずむ「昭和電子科学館」。
大きな石の鳥居が見える神社の参道に時代を超えて輝く名品たちが収められた科学館があります。
所狭しと並ぶ古き良き無線機、初期のパソコンたち。そして、ひと際存在感を放つのが、IBMの「システム34」です。
この博物館を創設したのは、地元在住の桑田輝彦さん。

なぜ、この地にIBM System/34が?

この博物館を立ち上げた桑田さんに話を伺いました。

IBM System/34との出会いが私の人生を大きく変えてしまいました。
中学生の頃から電子技術に興味を抱き、高校生の時にアマチュア無線を
開局し現在も運用しています。当時(昭和40年頃)の電子デバイスは
真空管の全盛期でトランジスターがやっと使われ始められた頃でした。
その後は皆さんご存じのとおりです。マイコンと言われた時代から
コンピューターの進歩はめまぐるしく、IBM社員の方々のスキルは
大変な物でついていくのが必死だったのを思い出します。
IBM System/34の後会社の方針で他社システムを使用しましたが、
IBM System iを最後に会社を定年退職しました。
この半世紀で驚くほど進化した電子デバイス、電子技術を次の時代を担う
若い人たちに是非とも伝えたいとの思いが日々強くなり科学館の開設に
至りました。私がコンピューター技術を習得するのに使ったワンボード
マイコン、モノクロ画面のBASIC機、MS-DOS、Windows3.1のパソコンや
データー記録媒体をはじめ、手廻式機械計算機、ニキシー管表示の電卓、
真空管式ラジオ、白黒テレビ、色々な用途の真空管、アマチュア無線機等を 展示しています。そして自作した真空管アンプでアナログレコードをお聞き
頂けるようにしました。また、初期のコンピューターであるリレー式4ビット計算機を 自作し計算機の原理を体験して頂いています。
開設以来地元の新聞、テレビ、FMコミュニティ放送などに取りあげて
いただき多くの方にお越し頂いています。年配の方は懐かしがり、若い人は
こんなのがあったのと喜んで貰っています。 使用していたIBM System/34が搬出される際、業者の方にご無理を言って、内部の基板数枚と銘板を頂き
額にして展示しています。私の良き思いの一ページです。

001:1983 年 IBM/System34と一緒に

当時の担当者が語る、桑田さんとの出会いさらに、当時、このIBM System/34を
担当していた西日本営業部 広島営業所の大槻幹夫さんにも、当時の様子を振り返っていただきました。

002:当時の担当者 西日本営業部 広島営業所 大槻幹夫さん
桑田さんとの最初の出会いは45年ほど前、広島営業所に所属、福山を担当することになり新幹線とローカルバスを乗りついて、桑田さんの会社まで片道2時間半。
桑田さんは飛び込みで訪れた僕を快く迎えてくれました。
妙にいろいろ詳しいな、が第一印象の一つ。
そこから何年も通うことになるのですが僕も頑張り、桑田さんも一生懸命応援してくれたのですがなかなかトップの承認を得ることが出来ませんでした。
ある時点からは昼食を一緒に、それが楽しみで通っていたような気がします。
そしてITを中心とした分野に詳しい桑田さんの話をお聞かせいただく、
そんな機会になったと記憶しています。そしてついにS/34の導入を決めて
いただいた日は、営業だから、そんなこととは全く関係なく
とにかく嬉しかったのを思い出します。
あれから長い時間が過ぎ去りましたが桑田さんの情熱、温かい人間性は
変わることなく、次世代への期待をも込めて「昭和電子科学館」が誕生したのだと思います。桑田さんはITばかりじゃなく茶道の指導や地元観光ボランティアガイドを手始めに農作業等もこなし、他にも僕の知らないところでいろいろ活躍されて
いる様子、まさにマルチ人間、そして僕は「生涯現役」と呼ばせていただいて
おります。広島に家を建てた時は福山からお祝いだ!トラックで生垣のための
樹木を持ってきてくれて全部植えて帰られました。
数年前お伺いした際には奥様とともに温かく迎えていただきました。
桑田さんから頂いた親切と思い出はいっぱい。「IBMの営業しててよかった!」
どうかこれからも末永く頑張ってください。桑田さんのファンより。

日進月歩のIT業界だからこそ、訪れたい場所私たちの身の回りには、
日々新しい技術が生まれ、古いものはどんどんと淘汰されていきます。
しかし、この科学館には、そんな時代の流れの中で忘れ去られてしまった
貴重な技術が今もなお息づいています。
「昭和電子科学館」は、私たちに、技術の進化の歴史と、それを作ってきた人々の情熱を教えてくれます。皆さんも一度「昭和電子科学館」を訪れ、過去から現在、そして未来へと続く技術の旅に出かけてみてはいかがでしょうか。 _______________________________________________________________
入館料:無料
住所: 広島県福山市新市町宮内412-5
アクセス:広島県JR福山駅より府中行きバスで約40分新市駅前下車
又はJR福山駅乗換福塩線新市駅下車 備後一宮吉備津神社を目指して1.5Km
開館時間:毎月第2・4土曜日
9:30~12:00/13:00~16:00 (臨時開館あり・要予約)
連絡先及び方法は下のPDFをダウンロードしてご確認してください。
PDFのダウンロードはここをクリック

写真をクリックすると拡大します。

003:「昭和電子科学館」左の白い建物、道路の先に神社の鳥居と本殿屋根が見えます

004:館内部 奧にS/34の額と手前に5550本体

005:館内部 手前に初期のパソコン、奧に蓄音機、真空管、無線機など

006:S/34の額 銘板と内部の基板

007:当時使っていた8インチディスケットと5550の5インチディスケット

008:IBMロゴの入った真空管、初期のコンピューターで使われていた??

009:自作真空管アンプを置いた部屋

010:4ビットリレー式計算機(自作)数値は16進とデジタル表示

011:展示品を背にして

012:保存改修工事を終えた備後一宮吉備津神社本殿(現在の姿)